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個からチームへ
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会社で働く人は「人材」ではない
会社や組織、チームを「場」として捉えたとき、その「場」はひとりひとりの替えの効かない個人の集まりで成り立っています。
企業の経営戦略、売上目標を達成するための人材として個人を捉えるのではなく、それぞれの生活、価値観、想いを持った有機的な存在として捉えています。
文章にすると当たり前のことのように聞こえますが、実際には
- 売上を達成するために本人が望まない長時間労働が発生する
- 個人のやりたいことは会社ではできないという諦めがある
- 意思決定をする人と業務を実行する人が分離しており、自分の意志で動く環境がない
ということが起きてしまっています。
これまでの業務を繰り返したり、改善したりといった仕事内容だと、働く人を人材と捉える機能的な組織運営の方が上手くいきますが、新しい事業を始めたり、イノベーションを起こしていったりとなると、こうしたオペレーション的な組織運営では、上手くいきません。
私たちB2B Makersも元々はコンサルティングを主とした、オペレーション的な組織でした。
そのような関係性や会社のあり方の中で、これまでも新しい事業を生み出そうとしてきましたが、なかなか上手くいきませんでした。
どうして上手くいかないんだろう、と試行錯誤を重ねるうち、問題は「(事業として)何をやるか」ではなく、「どうやるか」にあるのではと思い至りました。
これまでの機能的な組織運営、効率を重視した業務の遂行、オペレーション的なコミュニケーションのあり方自体を変えないといけないのでは、と。
会社のミッションややることも、その場にいる人が変われば、随時変わっていく。
メンバーのやりたいことや活かしたいスキルを引き出し、他のメンバーのそれと交差するところに、チームとして取り組むテーマやその時々にやることを据えていく。
会社や組織は、人という有機的な存在が集まった、有機的な場である。
そういう認識のもと、元々オペレーション的だった会社を変えていっています。
個からチームへ
人がふたり以上集まると、それはすでにチームです。
機能的な存在としてではなく、有機的な存在としての個人がふたり以上集まれば「場」ができます。
有機的な個人が集まり、有機的な場が生まれ、有機的な何かが生まれる。
そのような場にはもはや、個人対チーム、仕事対プライベートといった、二項対立的な概念がありません。
二項対立のまま捉えてると、個人が働きやすいのを優先するのか、チームの目標やミッションを優先するのかいった、個人と集団のどっちを取るかという終わりなき議論が続いてしまいます。
冒頭で「個からチームへ」と掲げたのは、組織を構成しているのはミッションや経営戦略や人事システム(組織ありきの個人)ではなく、そこに集まった、生命を持った有機的な存在としてのひとりひとりである、ということを述べたかったからです。
ですが実際には、個人の生存が脅かされない場(心身の健康や、心理的安全が保証された場)において、閉じていた個が開いていく中で、チームという場ができあがっていきます。個人がいて、そこからチームに移行していくのではなく、個人が開くことで、チームになっていくイメージです。
私たちB2B Makersもそうでしたが、これまでオペレーション的にやってきた組織が、いきなり個が開いていくような、個とかチームとかといった境目がないような場に移行することはできません。
だからまずは、個人に着目する必要があるのです。
ひとりひとりが働きやすいよう、環境を整える。その上でチームとして何ができるか、何をしたいかを互いに出し合って決めていく。
そこには痛みや失敗があり、時間もお金かかりますが、本気で組織を変えたい、チームとして新しいことに取り組みたいと思うならば、自分やチームの意識を変える覚悟、時間やお金がかかる覚悟を持って、取り組む必要があります。
対話を通じてチームはつくられる
個がひらいてチームという場になっていくために欠かせないのが、対話です。
たとえばミーテイングで話し合いをするときも「目標達成のために」「ミッションのために」議論や話し合いを客観的にするのではなく、ひとりひとりが議題についてどう思っているか、なぜそう思うのか、個人の背景に意識を向けます。
対話は「議題そのものだけではなく、あなた自身に関心がある」「あなたがそれについてどう思うかが聞きたい」というメタメッセージ(言葉以外で伝わるメッセージ)を伝えるものです。
簡単なようで、実は難しい対話というコミュニケーション。言葉以外に伝わる情報(表情や身体の仕草、目線の先など)が少ないリモートワーク時代には、なおさら難しくなっています。
しかし私たちは今や、こうした対話を実現するためのテクノロジーを持っています。AI(自然言語処理)やWeb3のテクノロジーをどのように活用すれば、現代の仕事環境において対話を実現できるのか、私たちは研究、開発を進めています。
補足: たとえひとりで仕事をしていてもチームである
たとえ独立したり、フリーランスとしてひとりで仕事をしていても、チームで仕事をしていると捉えることができます。
なぜなら、どんな仕事でもそれを届ける相手がおり、あらゆる人間関係の中で生まれるからです。
クライアントやユーザーといった、仕事を届ける相手と共に「自分たちにとって価値があるものをつくる」という認識に変えると、チームとしての仕事と捉えることができます。
生産者/消費者、開発者/ユーザー、発信者/受け手といった二項対立を越えて、共に価値があると感じられる場をつくる。
それが、チームという考え方、場という考え方になります。